专利摘要:
本発明は、可逆的な金属−支持体間の電子移動によって、6価クロム(Cr6+)の光学的検出、定量および無害化を行う分子ベースシステムに関するものである。特に、本発明は、H+の存在下でCr6+の還元に応じて酸化状態を変え、これにより光学的特性を可逆的、かつ光学的に読取りできる変化を起こすことができる二価のオスミウム(Os2+)−、鉄(Fe2+)−またはルテニウム(Ru2+)−ベースピリジル錯体でなるCr6+センサー装置を提供する。本発明に用いられたOs2+−、Fe2+−、またはRu2+−ベースのピリジル錯体は、Cr6+の選択的検出と定量、さらにCr6+の触媒的な無毒化に使用できる。なし
公开号:JP2011514508A
申请号:JP2010544843
申请日:2009-02-01
公开日:2011-05-06
发明作者:デル;ブーム,ミルコ;イー ヴァン;グプタ,タルケッシュワール;ルター,グラハム デ
申请人:イェダ・リサーチ・アンド・ディヴェロプメント・カンパニー・リミテッド;
IPC主号:G01N31-00
专利说明:

[0001] 本発明は、分子ベースシステム、特に、可逆的な金属−支持体間の電子移動によって、Cr6+の光学的検出、定量および無害化を行う二価のオスミウム−、鉄−またはルテニウム−ベースピリジル錯体に関するものである。]
背景技術

[0002] 自然界において最も見られるクロムは、ルビーやエメラルドの宝石であり、Al3+をCr3+に置換することでそれぞれルビーやエメラルド宝石に特有の赤色および緑色を生み出している。クロムは、Cr2+〜Cr6+に亘る酸化状態があり、Cr3+は、熱力学的に最も安定であり、また毎日の摂取量がおよそ25〜50μgの必須微量元素でもあることから最も重要である。]
[0003] しかしながら、最も高い酸化状態であるCr6+は、Cr3+より500〜1000倍有毒で非常に危険である。Cr6+への長期に亘る接触は、肺癌、慢性気管支炎、喘息、肺気腫、肺線維症、その他疾病に結びつくことがある(Reynoldset al.,2007;Zhitkovich,2005;Levina and Lay,2005)。米国保健社会福祉局によれば、空気中の最大曝露限界は、0.5〜100μg/m3で変わるが、水での最大曝露限界は、100μg/Lである(ATSDR Chromium Toxicity,US Department of Health and Human Services,2000)。]
[0004] Cr6+の主な出所源は、石油と石炭の燃焼、繊維染料の製造、核兵器の製造、クロムめっき、金属加工、革や木材の防腐など現代化学工業プロセスである。これらのプロセスは、莫大な量の有毒廃棄物を出す(Singh and Gupta,2007;Liu et al.,2006;Gheju and Iovi,2006;Mytych and Stasicka,2004;Kieber et al.,2002)。例えば、米国では、毎年大気汚染物として数トンのCr6+を放出している。加えて、廃水としてさらなるCr6+汚染がある(ATSDR Chromium Toxicity,US Department of Health and Human Services,2000)。従って、Cr6+の選択的な検出および定量は、その無害化と共に非常に重要である。]
[0005] 現在のCr6+の無害化は、化学量論的な量の鉄(硫黄)塩で化学的に還元し、次いで塩基で析出させる方法に依っている(Eary and Rai,1988;EPA,1980,2000)。Cr6+を検出、定量する先進技術がある(Marques et al.,2000)が、最少のサンプル量で選択的、かつコスト効率の良いセンサーシステムが高く望まれている。それに代わる別の試みはない(Boiadjiev et al.,2005;Tian et al.,2005;Turyan and Mandler,1997;Ji et al.,2001)。Cr6+は、H+とFe2+、Mn2+、V3+またはOs2+のような低原子価金属の存在する溶液中で還元される(Espenson,1970;Davies and Espenson,1970;Birk,1969;Westheimer,1949)。]
[0006] 例えば、[Os(bpy)3]Cl2は、酸性条件(pH=1)の水中でK2Cr2O7と反応してCr3+を生成することが、電子スピン共鳴スペクトル(ESR)で示される。また、単分子化学は急速に発展して(Collman et al.,2007;Yerushalmi et al.,2004;Liu et al.,2003;Lahann et al.,2003;Gupta and van der Boom,2006,2007;Gupta et al.,2006,2007;Baker et al.,2006;Gulino et al.,2005;Basabe−Desmonts et al.,2004;Ashkenasy et al.,2000;Crooks and Ricco,1998)、良く設計されたインターフェースは、種々の被分析物を検出するに使用されてきた(Gupta and van der Boom,2006,2007; Gupta et al.,2006,2007;Baker et al.,2006;Gulino et al.,2005;Basabe−Desmonts et al.,2004;Ashkenasy et al.,2000;Crooks and Ricco,1998)。しかしながら、マトリックス中の特定金属イオンを検出する適切なプラットフォームデザインは、未だ追求すべき仕事として残っている(Gupta and van der Boom,2007;Zhang et al.,2006)。]
[0007] 世界知的所有権機関国際事務局国際公開第2006085319号(WO−2006085319)および相当する米国特許公開20070258147号は、参考として全文を開示しているように内容をここに示すが、可逆的に変化し、光学的に読取りできる光学的特性をもつ装置を開示している。この装置は、導電性表面をもち、レドックス活性の層状構造を保持する基板を有し、レドックス活性の層状構造は、電子密度と酸化状態の少なくとも1つを含めて少なくとも1つの予め定めた電気特性もっており、その層状構造が電場を受けて変化することができる。そして、層状構造の電気特性が、構造の光学的特性を限定して、これにより、ある入射光に対して構造の光学的レスポンスを決定する。これにより、この装置は、この電気特性の変化に影響を受けて、層状構造の光学的応答の変化を検出することになる。]
[0008] 前述の米国特許公開20070258147号では、さらに、少なくとも所定のカチオン、アニオン、ラジカル、液体あるいはガス物質を検出することができ、操作できるセンサー装置を開示している。そしてこの装置は、前記した少なくとも1つの物質との反応に応じて酸化状態を変えることができるように選ばれたレドックス活性層状構造を有して、これによりこの構造の光学的特性を、可逆的、かつ光学的に読み取れるように変化させている。]
[0009] 前述の米国特許公開で定義しているように、このセンサー装置で認識されるカチオンは、[Ru(phen)3]3+、[Ru(bipy)3]3+、[トリアンスレン(trianthrene)]+、[Fe(bipy)3]3+、Pu4+、Au+、Ag2+、Ag+、Ce4+、Ru3+、Ir3+、Ir4+、Rh+、Rh2+、U2+、U3+、U4+、U5+、Rh3+、Pd2+、Pd4+、Pt2+、Pt4+、Ni2+、Ni4+、Co3+、Hg2+、Cu2+、Cu+、Cd2+、Pb2+、Pb4+、Sn2+、Sn4+、W+、NO+、Fe2+、Fe3+、アクチニドおよびランタニドのカチオンでなるグループから選ばれる。]
[0010] 特別の実施形態で、そのセンサー装置のレドックス活性層状構造は、ビス(2,2’−ビピリジン)[4’−メチル−4−(2−(4−(3−プロピルトリメトキシシラン)ピリジニウム)エテニル)−2,2’−ビピリジン]オスニウム(II)[トリス(ヘキサフルオロホスフェート)/トリヨーダイド]それぞれのオスミウムポリピリジル化合物を有している。]
発明が解決しようとする課題

[0011] 本発明によって、二価のオスミウムベースピリジル錯体、特に、国際公開2006085319号に開示されたビス(2,2’−ビピリジン)[4’−メチル−4−(2−(4−(3−プロピルトリメトキシシラン)ピリジニウム)エテニル)−2,2’−ビピリジン]オスニウム(II)[トリス(ヘキサフルオロホスフェート)/トリヨーダイド]、およびビス(2,2’−ビピリジン)[4’−メチル−4−(2−(4−(3−プロポキシトリメトキシシラン)フェニル)エテニル)−2,2’−ビピリジン]オスニウム(II)[ビス(ヘキサフルオロホスフェート)/ジヨーダイド]は、酸性条件下の水およびMeCN中の6価のクロム(Cr6+)を、選択的に検出し、トレース量、すなわちppmレベルで定量できる。]
[0012] その測定は、比較的速く、すなわち約1分であり、通常の外気環境条件で実施でき、標準の紫外/可視分光器(260〜900nm)を用いてその場で(in−situ)および外部で(ex−situ)モニターできる。]
[0013] このようなピリジル錯体ベース単分子層の物理化学的特性と装置性能が組合わって、頑強、再生、応答時間、安定性、選択性、さらに低検出限界を有することから、このシステムが、Cr6+の検出および定量の優れた代替となる。オスミウム、鉄およびルテニウムは、同じグループの化学元素、すなわち同様の物理化学的特性を持っているので、二価の鉄/ルテニウムベースピリジル錯体は、同様の能力を持っていると考えられる。]
課題を解決するための手段

[0014] 従って、1つの態様で、本発明は6価クロム(Cr6+)センサー装置であり、H+の存在下でCr6+の還元に応じて酸化状態を変え、これにより光学的特性を可逆的、かつ光学的に読取りできる変化を起すことができる二価のオスミウム(Os2+)−、鉄(Fe2+)−またはルテニウム(Ru2+)−ベースピリジル錯体でなっている。]
[0015] 本発明の装置は、さらに前記したピリジル錯体層状構造を保持する基板であることもできる。]
[0016] 別の態様で、本発明は、酸性水溶液であり、H+の存在下でCr6+の還元に応じて酸化状態を変え、Cr6+の選択的検出および定量ができる二価のオスミウム(Os2+)−、鉄(Fe2+)−またはルテニウム(Ru2+)−ベースピリジル錯体を含有している。]
[0017] さら別の態様で、本発明は、上に定義した酸性水溶液を含むアンプルであり、また、そのアンプルを少なくとも2つ持つキットである。]
[0018] 別の態様で、本発明は、液体サンプル中Cr6+の選択的検出および定量方法であり、(1)Cr6+の還元に応じて酸化状態を変えることができる二価のオスミウム(Os2+)−、鉄(Fe2+)−またはルテニウム(Ru2+)−ベースのピリジル錯体を、H+の存在下で液体サンプルと充分な時間で接触させる、(2)紫外/可視スペクトル領域、好ましくは400〜900nmの範囲で前記ピリジル錯体の吸収スペクトルを記録する、(3)前記液体サンプル中のCr6+の存在をモニターし、前記ピリジル錯体の予め定めた吸収と比較して(2)の吸収スペクトルの変化によりその濃度を測定する、を行うことからなっている。]
[0019] またさらに別の態様で、本発明は、水または有機液体媒体中のCr6+の無害化方法であり、(1)水または有機液体媒体を、Cr6+の還元に応じてそれぞれ酸化状態をOs3+、Fe3+またはRu3+ベースピリジル錯体に変ることができ、基板上に層状構造に保持された二価のオスミウム(Os2+)−、鉄(Fe2+)−またはルテニウム(Ru2+)−ベースピリジル錯体と、H+の存在下で充分時間で接触させ、(2)Cr6+の存在をモニターし、液体媒体からのサンプル中のCr6+濃度を測定する、(3)サンプル中のCr6+を検出するとき、Os3+−、Fe3+−、またはRu3+−ベースピリジル錯体を還元し、ステップ(1)および(2)を繰返す、ことからなっている。]
[0020] またさらなる態様で、本発明は、触媒的なCr6+還元方法であり、Cr6+を二価のオスミウム(Os2+)−ベースピリジル錯体で還元して、Os2+をOs3+に酸化し、酸化されたOs3+を水と充分時間接触させてOs3+をOs2+に再生することでなっている。]
図面の簡単な説明

[0021] Cr6+(0.85mM)のMeCN溶液(pH=1)(a)、10.4μM−化合物10のMeCN溶液(b)、化合物10(20.8μM)のMeCN溶液(pH=1)を1mLと、Cr6+(1.7mM)のMeCN溶液(pH=1)を1mLとの混合溶液(c)、の吸収スペクトルを示している。]
[0022] 0.5ppmのCr6+を含む酸性MeCN溶液(pH=1)中に浸漬した化合物10ベース単分子層の吸収変化を示している。挿入図は、4、6、10、16および45分におけるλ=516(■)での吸収変化R2=0.990、λ=692nm(●)での吸収変化R2=0.997、λ=317nm(▲)での吸収変化R2=0.979、およびλ=293nm(▼)での吸収変化R2=0.850を示している。]
[0023] 化合物10ベース単分子層を、0、1、5、10、25または50ppmのCr6+を含むpH=1の水溶液に1分間浸漬した後における吸収変化を酸化%で示している。黒直線は、直線関係(R2=0.996)を表している。点線は、3および28ppmのCr6+を含む標準酸性(pH=1)水溶液で行ったブラインドテストの結果である。]
[0024] 化合物10ベース単分子層を、5ppmのCr6+を含む酸性MeCN溶液(pH<1)で1分間酸化し、次いで、水で3分間以内還元して行う代表的な切替え実験の吸収スペクトルを示している。挿入図は、λ=516と692nmでのMLCTバンドのスペクトル変化(それぞれ、長い棒と短い棒)を、酸化/還元サイクルを函数として示している。]
[0025] 化合物10ベース単分子層を、100ppmのCr6+を含む種々のpH値の水溶液に1分間浸漬した後での、λ=516nmの吸収を示している。]
[0026] 化合物10ベース単分子層の光学的レスポンスを、pHを函数として、還元%で示している。酸化を50ppmのK2Cr2O7で行ったとき(R2=0.983)(A)、酸化を100ppmのNOBF4のMeCN溶液で行ったとき(R2=0.996)(B)における化合物10ベース単分子層の水での還元のpH依存性である。]
[0027] PH=3.5とH=1で、Ag/AgClを参照電極として、ガラス質炭素作用電極とPtワイヤー対電極を用い、−1.6と+1.0Vの間、スキャン速度100mV/sで行った0.1MのKCl水溶液中における[Os(bpy)3]Cl2の電流電位曲線(A)、およびPH=3.5とH=1で、0〜1Vの間でのOs金属センターの単離を、スキャン速度400mV/sで行った0.1MのKCl水溶液中[Os(bpy)3]Cl2の電流電位曲線(B)である。]
[0028] pH=1(A)およびpH=3.5(B)での[Os(bpy)3]Cl2のIp対ν1/2のプロットを示しており、拡散コントロールされた酸化/還元プロセスが直線関係にあることが示されている。]
[0029] サンプルを強塩基で処理してFe3+を選択的に除いた後で、化合物10ベース単分子層を、Cr6+を100 ppm存在する(列1)および存在しない(列2)で、次の金属塩のそれぞれを5×10−4Mで含む種々の水系マトリックスに浸漬した後に、λ=516nmにおける相対的酸化変化を示している。 a)HgCl2、ZnCl2、CuCl2、CoCl2、MnCl2、NiCl2; b)MgCl2、BaCl2、CaCl2; c)KCl、NaCl、CsCl、LiCl; d)LaCl3、Al(NO3)3、CdSO4; e)NaNO3、Na2SO4、Na2SO3、KH2PO4、KBr; f)Pb(NO3)2、NaNO2; g)FeCl3; h)FeCl3;]
[0030] 化合物10ベース単分子層を、80ppmのCr6+(▲)、Fe3+(●;R2=0.998)を含む水溶液(pH=1)に浸漬したときの、時間を函数としたλ=516nmでの吸収変化を示している。■で示したラインは、材料と方法で記載したように、強塩基処理でFe3+を選択的に除いた後の化合物10ベース単分子層の吸収である。]
[0031] それぞれ酸性条件(pH=1)の池の水(1〜5)、および砂の抽出水(6〜9)に1分間浸漬した後で、化合物10ベース単分子層のλ=516nmにおける光学的レスポンスを酸化%で示している。エントリー1および2は、池の水で、それぞれサンプルに酸を加えたものと、加えないものであり、エントリー3および4は、それぞれ5および10ppmのCr6+を加え、同じ量の酸を加えてレスポンス時間を2分にしており、エントリー5は、100ppmのCr6+を加えている。エントリー6および7は、砂の抽出水で、それぞれサンプルに酸を加えたものと、加えないものであり、エントリー8および9は、砂+Cr6+から抽出した水からのサンプルで、後者Cr6+は酸性(pH=1)にしている。]
[0032] 化合物10ベース単分子層を酸性水(pH=1)に数時間浸漬してのλ=516と692の両MLCTバンドの安定性を示している。16時間で止めており、この間、化合物10ベース単分子層は酸性水に浸漬していなかった。]
[0033] 化合物10ベース単分子層を、実施例9に記載した実験に用いた溶液に浸漬した後、λ=516nmでのMLCTバンドの酸化変化%を、時間を函数として示している。ラインは、指数函数的にR2=0.993で合っている。]
[0034] 実施例9に記載したように、2mMのCrCl3水溶液(pH=1)(1)、2mMのK2Cr2O7と6mMの[Os(bpy)3]Cl2の1:1(v:v)混合水溶液(pH=1)(2)の8連続サイクルの後の電子スピン共鳴(ESR)スペクトルを示している。]
[0035] 化合物10ベース単分子層のλ=516nmにおけるMLCTの酸化変化%(■)および還元変化%(¨)を、pHを函数として示している。酸化は100ppmのCr6+で行い(赤ドット)、還元は水で行った。]
[0036] 化合物10ベース単分子層で官能基を付けたガラスビーズを用い、Cr6+廃水の触媒的な無害化が可能なリアクターの模式図を示している。拡大図は、起こり得る表面プロセスを示している。]
[0037] 1つの態様で、本発明はCr6+センサー装置であり、H+の存在下でCr6+の還元に応じて酸化状態を変え、これにより光学的特性を可逆的、かつ光学的に読取りできる変化を起こすことができる二価のオスミウム(Os2+)−、鉄(Fe2+)−またはルテニウム(Ru2+)−ベースピリジル錯体でなっている。
好ましい実施形態では、本発明のセンサー装置が、Os2+−ベースピリジル錯体でなっている。]
[0038] ここに使用される用語“酸化状態”は、電気的に中性な状態、または元素、化合物、または化学置換基/サブユニットへの電子の授受によって作られた状態を意味する。好ましい実施形態では、この用語は、中性な状態、または電子の授受(還元または酸化)により作られる中性以外の状態を指す。]
[0039] ここに使用される用語“光学的特性”は、本発明のCr6+センサー装置で使用されるOs2+−、Fe2+−、またはRu2+−ベースピリジル錯体の吸収スペクトルを指す。光学的特性の変化は、Os2+−、Fe2+−、またはRu2+−ベースピリジル錯体への、またはOs2+−、Fe2+−、またはRu2+−ベースピリジル錯体からの1つ以上の電子の授受によって、電気化学的にもたらされる。]
[0040] ここに使用される用語“ピリジル錯体”は、1つ以上のピリジル配位子を有する金属を指す。すなわち、本発明のCr6+センサー装置に使用されるOs2+−、Fe2+−、またはRu2+−ベースピリジル錯体は、Os2+、Fe2+、またはRu2+が1つ以上のピリジル配位子に配位しているものである。]
[0041] 1つの実施形態では、Os2+−、Fe2+−、またはRu2+−ベースピリジル錯体は、電荷したトリス−ビピリジル−Os2+−、Fe2+−、またはRu2+−錯体、またはその誘導体である。より好ましくは、Os2+−、Fe2+−、またはRu2+−ベースピリジル錯体は、一般式Iの化合物である。]
[0042] ]
[0043] ここで、MがOs、Fe、またはRuであり、nがオスミウム、鉄、またはルテニウムの酸化状態で2または3であり、mがトリスビピリジルリガンドの正電荷で0から24の整数であり、XがBr−、Cl−、F−、I−、PF6−、BF4−、OH−、ClO4−、SO3−、CF3COO−、CN−、アルキル−COO−、アリール−COO−、またはこれらの組合せから選ばれる対アニオンであり、R5〜R28がそれぞれ独立に水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アジド、ニトロ、シアノ、アミノ、置換されたアミノ、チオール、C1−C10アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、カルボキサミド、置換されたカルボキサミド、カルボキシル、保護されたカルボキシル、保護されたアミノ、スルホニル、置換されたアリール、置換されたシクロアルキル、または置換されたヘテロシクロアルキルであり、R5〜R28の少なくとも一つがAまたはBのグループである。]
[0044] ]
[0045] ここで、Aは、R4で一般式I化合物の環構造に連結しており、R4が、シス/トランスのC=C、C≡C、N=N、C=N、N=C、C−N、N−C、アルケン、アリーレン、またはこれらの組合せから選ばれ、R3がCまたはNであり、R2がナシまたは水素、アルキル、アルキレン、アリール、アリーレン、OH、O−アルキル、O−アルキレン、またはこれらの組合せから選ばれ、R1が水素、トリアルコキシシラン、トリハライドシラン、チオール、COOH、COO−、Si(OH)3、またはホスホネートである。]
[0046] Bは、酸素で一般式1の化合物に連結する−O(CH2)p−R29であり、ここでpが9〜12の整数であり、R29が水素、トリアルコキシシラン、トリハライドシラン、チオール、COOH、COO−、Si(OH)3、またはホスホネートであり、2つの隣合うR5とR28置換基がそれらに連結する炭素原子と縮合してシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールまたはアリールの縮合環を形成してもよく、かつ前記縮合環がC1〜C10アルキル、アリール、アジド、シクロアルキル、ハロゲン、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ハロアルキル、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、ニトロ、シアノ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシアミド、置換されたカルボキシアミド、カルボキシル、保護されたカルボキシル、保護されたアミノ、チオール、スルフォニル、または置換されたアリールから選ばれる1つ以上のグループで置換されていてもよく、さらに前記縮合環がN、O、またはSから選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を有していてもよい。]
[0047] ここに使用される用語“アルキル”は、代表的に、好ましくは炭素数1〜10の直鎖または分岐の炭化水素基であり、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシルなどがある。このアルキルは、さらに置換されていてもよい。]
[0048] 用語“アルキレン”は、好ましくは炭素数1〜10の二価の直鎖炭化水素鎖であり、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、オクチレンなどがある。]
[0049] 用語“アルケニル”は、好ましくは炭素数2〜10で、1つ以上の二重結合を有する直鎖または分岐の炭化水素基である。このアルケニルの例は、エテニル、3−ブテン−1−イル、 2−エテニルブチル、3−オクテン−1−イルなどがあり、これらに限定されるものではない。]
[0050] 用語“アルキレン”は、好ましくは炭素数2〜10で、1つ以上の二重結合を有する二価の直鎖炭化水素鎖であり、1−プロピレン、1−ブチレン、2−ブチレン、3−ヘキシレンなどがある。]
[0051] 用語“アルキニル”は、好ましくは炭素数2〜10で、少なくとも1つの三重結合を有する直鎖または分岐の炭化水素基である。]
[0052] 用語“シクロアルキル”は、代表的に、好ましくは炭素数3〜10の環(リング)状飽和脂肪族炭化水素である。シクロアルキル環の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロデシルなどがあり、これらに限定されるものではない。シクロアルキルは、シス/トランスデカリンの場合のように他のシクロアルキル類と縮合していてもよい。用語“ヘテロシクロアルキル”は、環の少なくとも1つの炭素原子がN、O、またはSから選ばれるヘテロ原子で置き換えられたシクロアルキルである。]
[0053] 用語“アルキルCOO”は、いずれか1つの炭素原子に、カルボキシル基(−COO−)が置換されたアルキル基である。好ましくは、アルキルは、炭素数1〜10であり、より好ましくは、CH3COO−である。]
[0054] 用語“アリール”は、典型的に、フェニルとナフチルなどの炭素数6〜14の芳香族基を意味する。用語“アリールCOO”は、置換アリールであり、この場合、カルボキシレート基によって置換されている。]
[0055] 用語“ヘテロアリール”は、少なくとも1つの炭素原子がN、O、またはSから選ばれるヘテロ原子で置き換えられた芳香族環である。ヘテロアリールの例は、ピロリル、フリル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、1,3−ベンゾジオキシニル、ピラジニル、ピリミジニル、1,3,4−トリアジニル、1,2,3−トリアジニル、1,3,5−トリアジニル、チアジニル、キノリニル、イソキノリニル、 ベンゾフリル、イソベンゾフリル、インドリル、イミダゾ[1,2−アルピリジル]、ピリド[1,2−アルピリミジニル]、ベンズ−イミダゾリル、ベンズチアゾリル、およびベンゾオキサゾリルなどがあり、これらに限定されるものではない。]
[0056] 用語“ハロゲン”は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードである。用語“ハロアルキル”は、少なくとも1つのハロゲンで置換されたアルキルを指す。]
[0057] 用語“アルコキシル”は、−ORであり、ここで、Rはアルキル基である。用語“アジド”は、−N3である。用語“ニトロ”は、−NO2であり、用語“シアノ”は、−CNである。用語“アミノ”は、−NH2、またはアルキルまたはアリール置換基がある二級、三級、四級の置換されたアミノである。用語“保護されたアミノ”は、アミノ基に変換される基である。用語“カルボキサミド”は、−CONH2、またはその水素のそれぞれがアルキルまたはアリール基で置き換えられている置換された基である。]
[0058] 用語“カルボキシル”は、−COOHである。用語“保護されたカルボキシル”は、カルボキシル基に変換される基、例えば、−COOR(ここで、Rはアルキル基またはその等価物、および有機化学に精通している人にとって知られているその他のものである。)のようなエステル類である。]
[0059] 用語“トリアルコキシシラン”は、一般式−Si(OR)3(ここで、3つのRのそれぞれはアルキル基であり、同じでも異なっていてもよい)の基であり、好ましくはトリメトキシシラン、トリエトキシシランである。同様に、用語“トリハライドシラン”は、−SiX3(ここで、Xはハロゲンであり、同じでも異なっていてもよい)である。]
[0060] 記述“2つの隣り合うR5〜R28置換基”は、互いにオルト位であるベンゼン環上の2つの置換基である。記述“縮合環システム”は、ナフタレ、フェナントレン、ベンズインドール、ベンズピリジンなどにおけるように、1つの結合を共有している少なくとも2つの環である。縮合環システムには、一般式Iの化合物の環である少なくとも1つのベンゼン環、および2つの隣り合うR4〜R27置換基が閉環して形成されたその他の環があり、この場合、その環は、飽和であってもまたは不飽和であってもよく、置換されていても置換されていなくともよく、またヘテロ環であってもよい。]
[0061] 明細書に記載された化合物、式1の化合物、つまりOs2+−、Fe2+−、またはRu2+−ベースピリジル錯体/化合物、およびその出発化合物と中間体は、ここではアラビア数字1〜15で特定している。しかしながら、特にここに記載したピリジル錯体は、2つの異なる陰イオンで定義されるので、化合物4〜15のそれぞれは、“a”と“b”の2つの形を有している。]
[0062] 1つの実施形態では、ピリジル錯体は、上に定義した一般式Iの化合物であり、ここで、MはOs、Fe、またはRuであり、nは2、mは0、XはPF6−またはI−、R5、R7〜R26、およびR28はそれぞれ水素、R6はメチル、そしてR27はAであって、AにおいてR4はC=C、R3はN、R2とR1は共にナシである。すなわち、それぞれ4a、4bで表されるビス(2,2’−ビピリジン)[4’−メチル−4−(2−(4−ピリジル)エテニル)−2,2’−ビピリジン]オスミウム(II)[ビス(ヘキサフルオロホスフェート)/ジ−ヨーダイド]、それぞれ5a、5bで表されるビス(2,2’−ビピリジン)[4’−メチル−4−(2−(4−ピリジル)エテニル)−2,2’−ビピリジン]鉄(II)[ビス−(ヘキサフルオロホスフェート)/ジ−ヨーダイド]、それぞれ6a、6bで表されるビス(2,2’−ジピリジン)[4’−メチル−4−(2−(4−ピリジル)エテニル)−2,2’−ビピリジン]ルテニウム(II)[ビス−(ヘキサフルオロホスフェート)/ジ−ヨーダイド]である。]
[0063] ]
[0064] 別の実施形態で、ピリジル錯体は、上に定義した一般式Iの化合物であり、ここで、MはOs、Fe、またはRuであり、nは2、mは1、XはPF6−またはI−、R5、R7〜R26、およびR28はそれぞれ水素、R6はメチル、そしてR27はAであって、AにおいてR4はC=C、R3はN、R2はメチル、R1はナシである。すなわち、それぞれ7a、7bで表されるビス(2,2’−ビピリジン)[4’−メチル−4−(2−(4−メチルピリジニウム)エテニル)−2,2’−ビピリジン]オスミウム(II)[トリス−(ヘキサフルオロホスフェート)/トリ−ヨーダイド]、それぞれ8a、8bで表されるビス(2,2’−ビピリジン)[4’−メチル−4−(2−(4−メチルピリジニウム)エテニル)−2,2’−ビピリジン]鉄(II)[トリス−(ヘキサフルオロホスフェート)/トリ−ヨーダイド]、それぞれ9a、9bで表されるビス(2,2’−ビピリジン)[4’−メチル−4−(2−(4−メチルピリジニウム)エテニル)−2,2’−ビピリジン]ルテニウム(II)[トリス−(ヘキサフルオロホスフェート)/トリ−ヨーダイド]である。]
[0065] ]
[0066] 好ましい実施形態で、ピリジル錯体は、上に定義した一般式Iの化合物であり、ここで、MはOs、nは2、mは1、XはPF6−またはI−、R5、R7〜R26、およびR28はそれぞれ水素、R6はメチル、そしてR27はAであって、AにおいてR4はC=C、R3はN、R2はプロピル、R1はトリメトキシシランである。すなわち、それぞれ10a、10bで表されるビス(2,2’−ビピリジン)[4’−メチル−4−(2−(4−(3−プロピルトリメトキシシラン)ピリジニウム)エテニル)−2,2’−ビピリジン]オスミウム(II)[トリス−(ヘキサフルオロホスフェート)/トリ−ヨーダイド]である。]
[0067] ]
[0068] さらに別の実施形態で、ピリジル錯体は、上に定義した一般式Iの化合物であり、ここで、MはOs、Fe、またはRuであり、nは2、mは0、XはPF6−またはI−、R5、R7〜R26およびR28はそれぞれ水素、R6はメチル、そしてR27はAであって、AにおいてR4はC=C、R3はC、R2はOH、R1はナシである。すなわち、それぞれ11a、11bで表されるビス(2,2’−ビピリジン)[4’−メチル−4−(2−(4−ヒドロキシフェニル)エテニル)−2,2’−ビピリジン]オスミウム(II)[ビス−(ヘキサフルオロホスフェート)/ジ−ヨーダイド]、それぞれ12a、12bで表されるビス(2,2’−ビピリジン)[4’−メチル−4−(2−(4−ヒドロキシフェニル)エテニル)−2,2’−ビピリジン]鉄(II)[ビス−(ヘキサフルオロホスフェート)/ジ−ヨーダイド]、それぞれ13a、13bで表されるビス(2,2’−ビピリジン)[4’−メチル−4−(2−(4−ヒドロキシフェニル)エテニル)−2,2’−ビピリジン]ルテニウム(II)[ビス−(ヘキサフルオロホスフェート)/ジ−ヨーダイド]である。]
[0069] ]
[0070] 別の好ましい実施形態で、ピリジル錯体は、上に定義した一般式Iの化合物であり、ここで、MはOs、nは2、mは0、XはPF6−またはI−、R5、R7〜R26、およびR28はそれぞれ水素、R6はメチル、そしてR27はAであって、AにおいてR4はC=C、R3はC、R2はO−プロピル、R1はトリメトキシシランである。すなわち、それぞれ14a、14bで表されるビス(2,2’−ビピリジン)[4’−メチル−4−(2−(4−(3−プロポキシトリメトキシシラン)フェニル)エテニル)−2,2’−ビピリジン]オスミウム(II)[ビス−(ヘキサフルオロホスフェート)/ジ−ヨーダイド]である。]
[0071] ]
[0072] またさらなる実施形態で、ピリジル錯体は、上に定義した一般式Iの化合物であり、ここで、MはOs、nは2、mは0、XはPF6−またはI−、R5、R7〜R26、およびR28はそれぞれ水素、R6とR27はBであって、Bにおいてpは9、R29はトリエトキシシランである。すなわち、それぞれ15a、15bで表されるビス(2,2’−ビピリジン)[4,4’−ジノノキシ−9−トリエトキシシラン−2,2’−ビピリジン]オスミウム(II)[ビス−(ヘキサフルオロホスフェート)/ジ−ヨーダイド]である。]
[0073] ]
[0074] 本発明によって使用される様々のOs2+−、Fe2+−、またはRu2+−ベースピリジル錯体は、例えば、前述の国際公開2006085319号および米国特許20070258147号に開示されている公知の適した方法で製造される。特に、本発明に従って行なわれた全ての実験で使用されているOs2+−ベースピリジル錯体10、およびガラス上の化合物10ベース単分子層の製造を、以下の実施例1、2に記載する。]
[0075] 実施例の項で詳細に示すように、水溶液または有機溶液中のトレース量のCr6+は、透過モードの紫外/可視スペクトル(260〜900nm)で化合物10ベース単分子層の光学的特性をモニターすることでその場で(in situ)検出できる。]
[0076] 例えば、ガラス(0.8×2.5×0.1cm)上の化合物10ベース単分子層を、0.5ppmのCr6+を含む酸性MeCN溶液に浸漬すると、λ=293nmの吸収バンド、およびλ=516と692nmにおける金属から配位子への電荷移動(MLCT)バンドのシングレットおよびトリプレットが大きく低下し、同時にλ=317nmでの配位子から金属への電荷移動(LMCT)バンドが増大する。]
[0077] これらの反応条件下で45分後にセンサーの飽和が生じた。紫外/可視スプクトルで判定されるように、化合物10−ベース単分子層は、Cr6+がないpH=1の水中で、少なくともの数時間は安定である。]
[0078] 驚くことに、Cr6+の量は、1分間浸漬するだけで正確に定量できる。良好な線形関係とシステムの安定性により、Cr6+の信頼できる正確な定量化が可能になる。例えば、ブラインドテストでは、空気中の数週間後にさえ、補正された化合物10−ベースセンサーは、10%以内の精度でCr6+の量を決定するに使用できることができることが示された。]
[0079] 水とMeCNの中での検出範囲は、それぞれ1〜100ppmおよび0.5〜100ppmであった。水によるOs3+システムの還元で、λ=516と692nmでのMLCTバンドは、完全に最初の値に戻った。]
[0080] さらに示したように、表面溶液のレドックス化学は、pHに依存し、少なくとも10回のレドックスサイクルで良好な可逆性を示している。外部(ex situ)での紫外/可視の追加実験で、このシステムは、pH<3で1分間の浸漬で被分析物に応答し、このときpH=0.3で最高の酸化速度が観察される。pH=7.5で最大の還元速度がみられ、pH=1ではほとんど何の反応も観察されなかったのは興味がある。高いpH値で、単分子層が不安定になったが、これはシロキサン−ベース単分子層に共通である。]
[0081] Cr6+に対する化合物10−ベース10単分子層の選択性は、地下水で一般に見出される様々の金属イオンまたはアニオンを含む一連の水性マトリックスを用いて示された。Cr6+を含むサンプルだけが、1分の浸漬時間で著しい光学的変化(ΔA≧60%)を起こしている。]
[0082] 一方、H+がないときには、化合物10−ベースセンサーは、Cr6+に応答しておらず、このような条件では、化合物10−ベース単分子層は、水とMeCN中のFe3+を光学的に検出し得ることを、我々が報告している。明らかに、この2元センサーシステムは、pHを変えることにより特定金属イオンを検出することができる。]
[0083] 80ppmのFe3+またはCr6+を含む水溶液による化合物10−ベース単分子層の酸化の時間に依る測定から、浸漬時間が1分以内で、後者のCr6+イオンに対してのセンサーの光学的レスポンスが少なくとも6倍大きなことが示された。さらに、Cr6+が塩基条件で安定であるので、化合物10−ベース単分子層によるCr6+濃度の分析の前に、強塩基を用いた処理で媒体からFe3+を選択的に除くことができる]
[0084] 高品質のセンサー装置は、コントロールされた実験室条件のみならず、外界環境条件でも被分析物を検出する能力が要求される。示したように、化合物10−ベース単分子層は、外界環境中のCr6+を検出するに使用された。]
[0085] 魚釣り池からの水および運動場からの砂サンプルを採取し、ppmレベルのCr6+を追加、および追加なしで分析した。Cr6+は、砂から水で抽出した。全ての水サンプルを、pH=1の酸性にした。汚染されたサンプルのみが、ポジティブなレスポンスであった。]
[0086] 前述したことに関して、1つの実施形態では、Os2+−、Fe2+−、またはRu2+−ベースピリジル錯体の光学的特性は、紫外/可視のスペクトル領域、好ましくは400〜900nmでのピリジル錯体の光学的吸収スペクトルである。]
[0087] 別の実施形態で、本発明のCr6+センサー装置は、二価のOs2+−ベースピリジル錯体でなり、この装置は、中性pH域でFe3+の還元に対応して酸化状態を変えることができ、Fe3+の検出に使用できる。]
[0088] 本発明のCr6+センサー装置は、さらに、上記に定義したOs2+−、Fe2+−、またはRu2+−ベースピリジル錯体層状構造を保持した基板を有している。]
[0089] 1つの実施形態で、Os2+−、Fe2+−、またはRu2+−ベースピリジル錯体の層状構造は、このピリジル錯体の単分子層でなっている。]
[0090] 別の実施形態で、Os2+−、Fe2+−、またはRu2+−ベースピリジル錯体の層状構造は、このピリジル錯体の同一または異なる複数の層でなっている。]
[0091] さらなる実施形態で、(1)ピリジル錯体が、基板表面と共有結合できるような結合基を有している、または(2)基板表面が、前述の層状構造と配位または結合できる官能基を有している。]
[0092] 好ましい実施形態では、官能基は、層状構造と共有または非共有結合のいずれかで結合できる。結合基は、限定するものではないが、飽和または不飽和、置換されたまたは置換されていないアルキレン、飽和または不飽和、置換されたまたは置換されていないアルキルアリール基、飽和または不飽和、置換されたまたは置換されていないヘテロシクロアルキルであり、結合基は官能基に結合する。結合基、または基板表面に結合する官能基の例は、限定することなく、シラン、チオール、ホスフォネート、およびアルケン類がある。]
[0093] さらに実施形態では、基板は、親水性、疎水性、またはその組み合わせである。]
[0094] 1つの実施形態で、基板は、ガラス、ドープしたガラス、インジウム錫酸化物(ITO)コートのガラス、シリコン、ドープしたシリコン、Si(100)、Si(111)、SiO2、SiH、炭化ケイ素ミラー、石英、金属、金属酸化物、金属と金属酸化物の混合物、IV族元素、雲母、ポリアクリルアミドとポリスチレンなどのポリマー、プラスチック、ゼオライト、クレイ、木材、薄膜、光ファイバー、セラミック、金属表面加工セラミック、アルミナ、導電性物質、半導体、鋼またはステンレス鋼から選ばれた材料である。]
[0095] 好ましい実施形態で、上に定義された基板は、ビーズ、マイクロ粒子、ナノ粒子、量子ドット、またはナノチューブの形体にある。]
[0096] 1つの実施形態で、基板は、紫外および可視スペクトル領域で光学的に透明である。]
[0097] 最も好ましい実施形態で、本発明のCr6+センサー装置は、上で定義されたOs2+−ベースピリジル錯体層状構造を保持する基板でなっていて、その基板は、ガラス、好ましくはガラススライドまたはビーズであり、そのピリジル錯体は、一般式Iであり、MがOs、nが2、mが1、XがPF6−またはI−、R5、R7〜R26およびR28がそれぞれ水素、R6がメチル、R27がAであって、AにおいてR4がC=C、R3がN、R2がプロピル、R1がトリメトキシシランの化合物(それぞれ、化合物10aおよび10b)であり、前記ピリジル錯体の単分子層が前記基板に共有結合している。]
[0098] 別の態様で、本発明は、H+の存在下でCr6+の還元に応じて酸化状態を変え、Cr6+の選択的検出および定量ができる二価のオスミウム(Os2+)−、鉄(Fe2+)−またはルテニウム(Ru2+)−ベースピリジル錯体を含有する酸性水溶液に関するものである。]
[0099] 本発明の酸性水溶液中のピリジル錯体は、上に定義されたOs2+−、Fe2+−、またはRu2+−ベースピリジル錯体のいずれであってもよく、限定されるものではないが、化合物4〜15のいずれかなどがある。]
[0100] 1つの実施形態では、本発明の溶液は、上に定義されたOs2+−ベースピリジル錯体を含んでいる。好ましい実施形態では、この溶液は、pHが0.1〜3の範囲、好ましくは0.3〜2の範囲、最も好ましくは1である。]
[0101] さらなる態様では、本発明は、上記した酸性水溶液を有するアンプルに関するものである。]
[0102] また、さらなる態様では、本発明は、上に定義されたアンプルを少なくとも2つ有するキットに関するものである。]
[0103] また、さらなる態様では、本発明は、液体サンプル中Cr6+の選択的検出および定量する方法に関するものであって、(1)Cr6+の還元に応じて酸化状態を変えることができる二価のオスミウム(Os2+)−、鉄(Fe2+)−またはルテニウム(Ru2+)−ベースのピリジル錯体を、H+の存在下で液体サンプルと充分な時間で接触させる、(2)紫外/可視スペクトル領域、好ましくは400〜900nmの範囲でピリジル錯体の吸収スペクトルを記録する、(3)液体サンプル中のCr6+の存在をモニターし、ピリジル錯体の予め定めた吸収と比較して(2)の吸収スペクトルの変化によりその濃度を測定する、を行うことからなっている。]
[0104] この方法に使用されるピリジル錯体は、上に定義されたOs2+−、Fe2+−、または Ru2+−ベースピリジル錯体のいずれであってもよく、限定するものではないが、化合物4〜15のいずれかなどがある。]
[0105] 別の実施形態では、この方法に使用されるピリジル錯体は、上に定義された基板上に層状構造となっている。]
[0106] 1つの実施形態では、この方法によって分析された液体サンプルは、固体サンプルを液体媒体で処理して得られる。]
[0107] 1つの実施形態では、この方法に使用されるピリジル錯体は、上で定義されたOs2+ベースピリジル錯体である。
好ましい実施形態で、λ=516および692nmにおける金属から配位子への電荷移動(MLCT)バンドの低下は、Cr6+の存在を意味していて、この低下パーセントは、サンプル中のCr6+濃度に比例している。
別の好ましい実施形態では、Os2+ベースピリジル錯体は、pH が0.1−3、好ましくは0.3〜2、最も好ましくは約1で、被分析サンプルに接触され、Os2+ベースピリジル錯体は、約1分間被分析サンプルに接触される。]
[0108] 以下の実施例の項で示すように、Cr6+の検出方法は、レドックスと結びついており、すなわち、化合物10−ベース単分子層のOs2+からOs3+への酸化、続くCr3+の再生と関係している。Os金属センターの酸化は、溶液中pHに依り可逆的に切替えられ、Cr3+の生成となる。]
[0109] このことを考慮して、表面に化学的に結合している化合物10−ベース単分子層は、Cr6+廃水の処理、すなわち、Cr6+の無害化をするリアクターに有効に適用される。特に、実施例9に示すように、Cr6+無害化プロセスは、触媒的なプロセスであり、Cr6+がOs2+ベースピリジル錯体で還元され、Os2+がOs3+に酸化される。次いで、Os3+は、水と接触して、Os3+からOs2+に再生される。]
[0110] また別の様態で、本発明は、水または有機液体媒体中のCr6+を無害化する方法を提供する。(1)液体媒体を、それぞれOs3+−、Fe3+−、またはRu3+−ベースピリジル錯体に変わることができる二価のオスミウム(Os2+)−、鉄(Fe2+)−、またはルテニウム(Ru2+)−ベースピリジル錯体と、H+の存在下で充分時間接触させる。このとき、これらのピリジル錯体は、基板上に錯状構造で保持されている。(2) Cr6+の存在をモニターし、前記の液体媒体から得られたサンプル中の濃度を決定する、そして、(3)サンプル中にCr6+を検出するとき、Os3+−、Fe3+−、またはRu3+−ベースピリジル錯体を還元し、(1)(2)のステップを繰返す。]
[0111] この方法に使用されるピリジル錯体は、上に定義した如何なる(Os2+)−、鉄(Fe2+)−、またはルテニウム(Ru2+)−ベースピリジル錯体でもよく、化合物4〜15などがあるが、限定されるものではない。]
[0112] 1つの実施形態で、基板は、ビーズ、ナノ粒子、量子ドット、またはナノチューブの形状である。]
[0113] Cr6+の存在をモニターおよびステップ(2)の濃度を測定する方法は、当業界で公知の適切な方法、例えば、フレーム原子吸光法(FAAS)、誘導結合プラズマ原子発光スペクトル(ICP−AES)、化学発光分析法、蛍光X線分析法、電気化学的方法により、あるいは上に定義した液体サンプル中のCr6+の選択的検出および定量方法により行うことができる。]
[0114] 1つの実施形態で、この方法で使用されるピリジル錯体は、上に定義したようなOs2+−ベースピリジル錯体である。好ましい実施形態で、Os2+−ベースピリジル錯体は、pHが0.1〜3の範囲、好ましくは0.3〜2、最も好ましくは1で、サンプルを処理して接触させる。]
[0115] さらなる態様で、本発明は、水または有機液体媒体中のCr6+の無毒化方法を提供するもので、この方法は、その液体媒体を、Cr6+の還元に応じてそれぞれOs3+、Fe3+、またはRu3+−ベースピリジル錯体に変わることができる二価のオスミウム(Os2+)−、鉄(Fe2+)−、またはルテニウム(Ru2+)−ベースピリジル錯体と、H+の存在下で充分時間で接触させることにある。ここで、ピリジル錯体は、基板上に錯状構造として保持されている。]
[0116] また別の態様で、本発明は、Cr+6を還元する触媒的プロセスを提案する。このプロセスは、二価のオスミウム(Os2+)べースピリジン錯体でCr+6を還元し、Os2+ をOs3+に酸化し、そしてOs3+を水と充分な時間接触させて、Os3+をOs2+に再生させることでなっている。]
[0117] 本発明を、以下の実施例によって説明するが、これに制限されるものではない。
材料と方法
一般的記載:
殆どの金属塩類は、BDH社またはメルク社(Merck)から購入した。MgCl2は、アルドリッチ社(Aldrich)から購入した。全ての化学品はそのまま使用した。溶剤(試薬グレード)は、バイオラボ社(Bio−Lab、エルサレム(Jerusalem))、フルタロム社(Frutarom、ハイファ(Haifa))またはマリンクロットベーカー社(Mallinckrodt Baker、フィルスベルグ(Phillipsburg)、ニュージャージー州(NJ))から購入した。[Os(bpy)3]Cl2は、NH4OsCl6とエチレングリコールを用いてジョンソンら(Johnson et al.(1988))が記載した方法を一部変えて合成し、Et2Oで析出させて精製した。単分子層は、既に報告(Gupta et al.,2006)したようにして合成し、確認した。]
[0118] 単分子の製造に用いたソーダ石灰ガラスは、脱イオン(DI)水で数回洗浄し、次いでピラニア溶液(7:3(v:v)−H2SO4:30%H2O2)に1時間浸漬した(注意:ピラニアは非常に危険な酸化剤であり、適切な個人保護具を使用して注意深く扱わなければならない。)]
[0119] ガラス基板は、ピラニア処理の後、再びDI水で洗浄し、RCA(1:5:1(v:v)−NH4OH:H2O:30%H2O2)中に1時間置いた。]
[0120] 次いで、基板をイソプロピルアルコールですすぎ、N2フロー下で乾燥、炉中で2時間乾燥した。紫外/可視スペクトルは、室温で、特別の記載がない限り、カリー100(Cary 100)分光器を用いて透過モード(260〜900nm)で測定した。官能基を付けたガラス基板は、テフロン(登録商標)ホルダー(1.5×0.75cm;窓)に固定し、単分子層なしの同じガラス基板を用いてバックグランド吸収の補正をした。]
[0121] 溶液中のCr6+の光学的検出:
1mLの水に16mgのK2Cr2O7を溶解し、次いで19mLのMeCNを加えて、1000ppmのK2Cr2O7ストックMeCN溶液を調製した。この溶液を、2倍に希釈し、60μLの32%のHClを加えて酸性にし、MeCNをバックグランドにして紫外/可視溶液スペクトルを測定した。]
[0122] 同じ操作で、化合物10のMeCN溶液を調製した。両方のスペクトルが得られた後、2つの溶液を混合し、すぐに、K2Cr2O7溶液をバックグランドにして紫外/可視溶液スペクトルを測定した。]
[0123] Cr6+による化合物10−ベース単分子層の酸化の時間依存性:
1000ppmのK2Cr2O7ストックMeCN溶液を、上のようにして調製した。化合物10−ベース単分子層を、0.5ppmのK2Cr2O7酸性MeCN溶液(pH=1)中に、2、4、6〜16分間浸漬した。ガラス基板を室温で乾燥させ、ペーパータオルで軽く拭いて、紫外/可視溶液スペクトルを測定した。]
[0124] Cr6+検出のpH依存性:
K2Cr2O7水溶液に特定量の1M−HClを加えて、pHが0〜3の間では0.5づつ増加し、pHが3〜7では1づつ増加するようにしたpHが7〜0である100ppmのK2Cr2O7脱イオン水溶液を調製した。化合物10−ベース単分子層を、種々の溶液に1分間浸漬し、乾燥、ペーパータオルで軽く拭いてから紫外/可視溶液スペクトルを測定した。]
[0125] 各実験の後、化合物10−ベース単分子層を、上記したように再生した。pH>9では、単分子層がガラス基板から剥れるのが、紫外/可視スペクトルで観察された。]
[0126] 水性マトリックス中でのCr6+の選択的検出:
20mgのK2Cr2O7を20mLの水に溶解して、1000ppmのK2Cr2O7ストックDI水溶液を調製した。5×10−4モルの各金属塩を100mLのDI水に溶解して、それぞれの金属塩のストック溶液を調製した。代表的な実験を、次のようにして行った。]
[0127] 金属塩水溶液(1mL)を、さらに8mlのDI水で希釈し、100μLの32%のHClを加えた。化合物10−ベース単分子層を、得られた溶液に1分間浸漬し、乾燥した後に紫外/可視スペクトルを測定した。次いで、1mLのK2Cr2O7ストック溶液を、同じ金属塩水溶液に加え、再び単分子層を1分間浸漬し、紫外/可視溶液スペクトルを測定した。]
[0128] Cr6+によるセンサーの酸化に及ぼすFe3+の影響:
80ppmのFeCl3またはK2Cr2O7を含むpHが1の水溶液を調製した。化合物10−ベース単分子層を、FeCl3溶液に5分間浸漬し、紫外/可視溶液スペクトルを1分間隔で測定した。同じようにして、Cr6+溶液を用いて行ったが、センサーが1分間の浸漬で飽和したので、3分間だけ測定した。]
[0129] 同じFeCl3サンプルを、pHが14の塩基性にしたところ、Fe3+が水酸化物として析出した。溶液を2μmの孔をもつテフロン(登録商標)フィルターでろ過し、ろ液を再度pHが1の酸性にした。次いで、化合物10−ベース単分子層を、再度5分間浸漬し、その間紫外/可視溶液スペクトルを1分間隔で測定した。]
[0130] 周辺環境のCr6+の検出:
(a)ワイツマン科学大学(Weizmann Institute of Science、レホヴォ(Rehovot),イスラエル)のキャンパスにある池から水サンプルを採取し、10mLと9mLの2つに分けた。後者のサンプルに、1000ppmのK2Cr2O7溶液を1mL加え、両方のサンプルとも100μLの32%HClで酸性にした。両方のサンプルに、化合物10−ベース単分子層を1分間浸漬し、その紫外/可視溶液スペクトルを測定した。同じようにして、5および10ppm濃度のK2Cr2O7溶液それぞれに2分間浸漬した。]
[0131] (b)ワイツマン科学大学のキャンパスにある運動場から砂サンプル100gを採取し、20gづつの2つに分け、そのうちの一方に10mgのK2Cr2O7を加えた。両サンプルに、100mLのDI水を加え、加熱(60℃)しつつ2時間激しく撹拌した。]
[0132] 両溶液をろ過し、そのろ液10mLを採った。室温に冷却し、それぞれに100μLの32%HClを加え、化合物10−ベース単分子層を1分間浸漬した。次いで、基板を乾燥し、ペーパータオルで軽く拭き、紫外/可視溶液スペクトルを測定した。]
[0133] 水中酸化のpH依存性:
pHの値が1〜7.5の範囲で1づつ異なる水サンプルと、pHが1である50ppmのK2Cr2O7水溶液を調製した。化合物10−ベース単分子層を、50ppmのK2Cr2O7水溶液に3分間浸漬して完全に酸化させた。次いで、脱水したMeCN中で1分間洗浄し、紫外/可視溶液スペクトルを測定して、化合物10−ベース単分子層が完全に酸化していることを確認した。]
[0134] 完全に酸化してから、単分子層を、pHが1の水に3分間浸漬した。その後、ガラス基板を乾燥し、ペーパータオルで軽く拭き、紫外/可視溶液スペクトルを測定した。この手順を、異なるpH値の全水サンプルについて繰り返し行い、さらに、化合物10−ベース単分子層を脱水したMeCN中で100ppmのNOBF4溶液で酸化した時にも使用した。]
[0135] 電子スピン共鳴(ESR)によるCr3+の検出:
10mLの6mM−[Os(bpy)3]Cl2水溶液(pH=1)、および10mLの2mM−K2Cr2O7水溶液(pH=1)を調製した。続いて、両方の溶液を2mLづつ採り、混合すると、徐々に暗緑色から赤/紫への色の変化が見られた。混合してすぐ、混合溶液のESRスペクトルを測定した。]
[0136] 実施例1−Os2+−ベースピリジル錯体10の製造:
Os2+−ベースピリジル錯体10を製造するために、先ず、文献方法(Kim and Shin,2003)を一部変えて、化合物1を出発原料として化合物3を合成し、化合物3から化合物10の合成を、先に述べた(Gupta et al.,2006)ようにして2段階で行った。特に、以下のスキーム1で示すように、化合物10の製造は、次の段階で構成されている。]
[0137] (1)4’−メチル−4−(2−(4−ピリジル)エタン−2−オール)−2、2’−ビピリジン,2の合成;
アルゴン雰囲気下、4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジン,1(2.2g、11.9mmol)のテトラヒドロフラン(THF、50mL)溶液を調製し、これを0℃で30分間攪拌しつつ、製造したばかりのリチウムジイソプロピルアミン(LDA)(8mLの12.6mmol−BuLiと,1.6mLの12.7mmol−ジイソプロピルアミン、16mLのTHF中)を加えた。さらに1時間攪拌した後、4−ピリジンカルボキシアルデヒド(1.2mL、12.8mmol)の10mLのTHF溶液を滴下し、一夜攪拌を続けた。色が緑からオレンジに変った。]
[0138] 反応を水で止め、減圧にしてTHFを蒸発させた。残った溶液を、CH2Cl2で抽出(3×100mL)し、有機層を飽和NaClで洗浄し、Na2SO4で脱水した。次いで、減圧下で溶剤を除き、残留物をカラムクロマトグラフィー(150gの中性アルミナG−II)で精製した。溶離液をCH2Cl2からCH2Cl2中2%のMeOHに変え、出発原料を薄層クロマトグラフィー(TLC)上で確認して、化合物2を、淡黄色/オレンジ固体として1.3g、25%で得て、TLC(CH2Cl2中2%MeOH)で確認した。]
[0139] (2)4’−メチル−4−(2−(4−ピリジル)エチニル)−2,2’−ビピリジン,3の合成:
化合物2を減圧下で0.5時間乾燥し、アルゴン雰囲気下で脱水ピリジン(24mL)を加えた。シュレンク技術を用いて、脱水ピリジン(18mL)中POCl3溶液(3.9mL,41.8mmol)を調製し、室温で30分かけて化合物2の溶液に滴下し、その溶液をさらに少なくとも1時間攪拌を続けた。減圧下でピリジンを注意深く除き、残留物を水に溶解させた。水溶液のpHを濃NaOH溶液でpHを7〜8に調節し、溶液を抽出した(3×100mL、CH2Cl2)。有機層を合わせ、飽和NaClで洗い、Na2SO4で脱水した。]
[0140] 減圧下で溶剤を除き、残留物をカラムクロマトグラフィー(150g中性アルミナG−II)を用いて精製した。溶離液の極性をCH2Cl2からCH2Cl2中2%MeOHに変え、化合物3を淡黄色固体として0.65g(50%)を得た。化合物3の構造および純度を、TLC(CH2Cl2中、2%MeOH)および1H−NMRスペクトルで確認した。]
[0141] (3)ビス(2、2’−ビピリジン)[4’−メチル−4−(2−(4−ピリジル)エテニル)−2、2’−ビピリジン]オスミウム(II)[ビシ(ヘキサフルオロフォスフェート)/ジ−ヨーダイド],4の合成;
Os(bpy)2Cl2]・2H2O(200mg、0.328mmol)を、50mLのエタノール水溶液(1:1,v:v)中、化合物3と24時間還流して反応させ、暗緑色溶液を得た。これを。減圧下で〜10mLに濃縮した。過剰の飽和NH4PF6水溶液(3mL中、150mg)を加えて、化合物4を析出させた。この析出物を、過剰の水(100mL)、次いでジエチルエーテル(50ml)で洗い、溶離液としてトルエン/MeCN(8:2、v:v)を用いたカラムクロマトグラフィー(中性アルミナ、G−III)で精製した。]
[0142] 2つ目の緑色フラクションを集め、減圧下で乾燥して化合物4を得た(収量:220mg、63%)。化合物4の構造および純度を、1H−および13C−NMRスペクトルおよび質量スペクトルで確認した。]
[0143] (4)ビス(2、2’−ビピリジン)[4’−メチル−4−(2−(4−(3−プロピルトリメトキシシラン)ピリジニウム)エテニル)−2、2’−ビリジン]オスミウム(II)[トリス(ヘキサフルオロフォスフェート)/トリ−ヨーダイド],10の製造:
圧力容器中、N2雰囲気下で、3−ヨードプロピルメトキシシラン(67mg、0.23mmol)を、化合物4(50mg、0.047mmol)を含む過剰の脱水THF/MeCN(9:1、v:v)溶液に加えた。反応混合物を、90℃で72時間撹拌し、容量を、〜2mL迄減らした。室温で脱水したペンタン(15mL)を加えて化合物10を析出させた。溶剤を流し出し、減圧下で脱水ペンタン(3x60mL)で洗浄して化合物10を得た(収量:56mg、88%)。]
[0144] 化合物10の構造および純度を、1H−および13C−NMRスペクトル、質量スペクトルで確認した。
重要なことは、化合物2とホスホロキシクロライドの濃度を高くすると、かなりよい収率、すなわち50〜75%が得られたことである。]
[0145] ]
[0146] 実施例2−ガラス上での化合物10−ベース単分子層の形成:
ガラス上での化合物10単分子層は、前に記載したようにして形成され、スキーム2に説明している。特に、清澄にしたすぐのガラス基板(0.1×0.8×2.5cm)を、N2雰囲気下にある、アセトニトリル/トルエン(3:7、v:v)中0.5mMの化合物10を入れた圧力チューブに入れた。
圧力チューブを密閉し、85℃で52時間反応させ、官能基の付いた基板を、N2雰囲気下でアセトニトリルにて洗浄し、アセトニトリル、アセトンおよびイソプロピルアルコールでそれぞれ8分間超音波処理をした。サンプルは、N2を流して乾燥し、暗所に保存した。]
[0147] ]
[0148] これらの単分子層は、強固で、原子力顕微鏡使用(AFM)および紫外/可視スペクトルで特徴づけられた(Gupta et al.,2006)。さらに、化合物10−ベース単分子層の紫外/可視スペクトルは、λ=692と516nmそれぞれに金属から配位子への電荷移動(MLCT)バンドがあり、これは、d6金属センターの金属酸化状態が変ることで大きく変わることが示された(Gupta et al.,2006,2007;Gupta and van der Boom,2006,2007;Gulino et al.,2007)。]
[0149] 例えば、Os2+のOs3+への酸化は、MLCTの低下とともに、λ=317nmにおける配位子から金属への電荷移動(LMCT)バンドの増大を起している。これは、有機媒体中のH2O、NO+、有機および水媒体中のFe3+、ガス相中のNOxの検出に開発されたものである。]
[0150] 実施例3−Cr6+は、化合物10を酸化させる:
Cr6+は、H+とFe2+、Mn2+、およびV3+などの低価数の金属センターが存在する溶液中で還元を受けるので、この反応は、Os2+とCr6+の間でも起こり得ることが推測された。]
[0151] K2Cr2O7は、酸性条件でのみ強い酸化剤(Eo=+1.33V)であり、一方、塩基条件では弱い酸化剤(Eo=−0.13V)であることがよく知られているので、この反応には、酸性条件が必要である。確かに、MeCN中の化合物10(20.8μM)とMeCN中の過剰量のK2Cr2O7(1.7mM)とを、pHが1で反応させると、オスミウム金属センターからCr6+金属センターに電子の移動があり、これは、λ=516と692nmでのMLCTバンドの特徴的な低下と、λ=312nmでのLMCTバンドの増大により示される。これを図1に示す。] 図1
[0152] 電子移動は、また、電子スピン共鳴(ESR)によって確認され、6mMの[Os(bpy)3]Cl2水溶液と、2mMのK2Cr2O7水溶液を、pHが1で反応させることによりCr3+が生成することが示された。]
[0153] 実施例4−化合物10は、ppmレベルのCr6+を光学的に認識する:
Cr6+源としてK2Cr2O7を用いた一連の実験で、紫外/可視スペクトルを透過モード(260〜800nm)で化合物10−ベース単分子層の光学的特性をモニターすることにより、水または有機溶液中のトレース量Cr6+がその場で(in situ)検出されることが見出された。]
[0154] 特に、ガラス(0.8×2.5×0.1cm)上の化合物10−ベース単分子層を、0.5ppmのCr6+を含む酸性MeCN溶液中に浸漬すると、図2に示すように、λ=293nmの吸収バンド、およびλ=516と692nmでの金属から配位子への電荷移動(MLCT)のシングレットおよびトリプレット状態バンドが大きく低下し、反対にλ=317nmでの配位子から金属への電荷移動(LMCT)バンドが増大している。さらに、図2(挿入図)に示すように、45分後にこの反応条件下でセンサーの飽和が起きた。化合物10−ベース単分子層は、紫外/可視スペクトルで示しているように、Cr6+のないpH=1の水中で少なくとも数時間安定である。] 図2
[0155] Cr6+の検出性能を評価するために、化合物10−ベース単分子層を、種々のK2Cr2O7濃度(0、1、5、10、25、または50ppm)の水溶液(pH=1)に1分間浸漬し、続いて、それらの紫外/可視吸収スペクトルを測定した。これらの溶液を用いた化合物10−ベース単分子層の代表的な補正曲線を、図3に示す。] 図3
[0156] 良好な直線関係とシステム安定性から、信頼できる正確なCr6+定量化が、可能となり、さらに、Cr6+を3および28ppm含む標準酸性(pH=1)水溶液を用いたブラインドテストを行うことにより確認された。特に、図3に示すように、ブラインドテストは、補正された化合物10−ベースのセンサーは、空気中に数週間後でも、10%以内の精度でCr6+の定量に使用し得ることを示している。] 図3
[0157] 水およびMeCN中での検出範囲は、それぞれ1〜100ppm、0.5〜100ppmであった。図4に示すように、水によるOs3+システムの還元により、λ=516と692nmでのMLCTバンドを、完全に初めの値に戻している(Gupta and van der Boom,2006,2007;Gupta et al.,2006;For water−mediated reduction of Ru3+ and Os3+ complexes in solution,see:Zong and Thummel,2005;Hurst,2005;Lay and Sasse,1985)。] 図4
[0158] 実施例5−化合物10−ベース単分子層の触媒的特性:
この実験では、化合物10−ベース単分子層に及ぼす連続的な酸化/還元サイクル、つまり酸化/還元の可逆性の影響を検討した。特に、化合物10−ベース単分子層センサーを、5ppmのK2Cr2O7酸性MeCN溶液(pH=1)に1分間浸漬し、その後、MeCNに1分間浸漬し、速やかに塩基性水(pH〜8)で洗浄し、再び水に3分間浸漬して再生させた。各酸化/還元サイクルの後で、基板を乾燥し、ペーパータオルで軽く拭き、紫外/可視スペクトルを測定した。これらのサイクルを、10回まで繰返して、完全な可逆性があることが示された。]
[0159] 図4に示すように、表面溶液のレドックス化学は、pHに依存し、少なくとも10回のレドックスサイクルで優れた可逆性を示している。化合物10−ベース単分子層の完全な可逆性は、特に、図の挿入図に示されており、MLCTバンドの“酸化的”低下に対応するマイナス値、このバンドの“還元的”再生に対応するプラス値は、各酸化/還元サイクルが、酸化と還元のプロセスで同じ変化、ΔAを起していることを示している。] 図4
[0160] 外部で行う(ex situ)紫外/可視の追加実験は、材料と方法の項で記載したように、システムが、図5に示すように、pH<3で1分の接触時間でのみ被分析物に応答している。pH=0.3で酸化速度が最高であった。興味あることに、センサーの水での還元は、同様にpHに依存していた。最大の還元速度は、pH=7.5で観察され、一方、pH=1では、反応がほとんど観察さない。単分子層の形成は、高pH値では不安定になり、これはシロキサン−ベース単分子層にとって共通である(Wasserman et al.,1989)。] 図5
[0161] 化合物10−ベース単分子層について水酸化のpH依存性を、材料と方法の項で記載したようにして評価した。また、化合物10−ベース単分子層の光学的レスポンスを、pHを函数とした還元%で表し、図6の(A)〜(B)に示す。] 図6
[0162] 特に、低pH値での化合物10−ベース単分子層の回復は困難であったが、中性では100%の回復が観察され、pHは、用いた化合物10−ベース単分子層の電位に、興味ある影響を及ぼしていることを示唆している。]
[0163] そこで、ガラス上に固定したオスミウム錯体と非常に近似した[Os(bpy)3]Cl2を選び、0.1M−KCl溶液中での環状電流電位曲線(ボルタンモグラム)を図7の(A)〜(B)に示す。] 図7
[0164] 水中では、E=0.61Vでの第1酸化プロセスが、Os2+からOs3+への酸化に対応している。このプロセスは、可逆的で、60mVのピーク分離と、Ipとν1/2の間の直線関係で示され、これは可逆的プロセスの特徴である(図8の(A)〜(B))。] 図8
[0165] 図7の(B)に示すように、Os−金属センターのレドックス電位に対してpHはそれほどの影響を及ぼしていない。つまり、酸化/還元電位は、pHを3.5から1に酸性にすると20mVシフトしたが、pHを3.5から12に上げると環状電流電位曲線になんら変化を起していなかった。しかしながら、MeCN中で2つの酸化プロセスが観察さた(Matsumurainoue et al.,1986)のに対して、水中では、−1.3V付近にビピリジン配位子による不可逆酸化ピークが1つだけ観察された。pHは、[Os(bpy)3]Cl2のレドックス電位に影響を及ぼさないことが示唆されているので、pH依存性は、機械的な効果によって生じているにちがいない。] 図7
[0166] 実施例6−化合物10は、H+の存在下でCr6+に対して高度に選択的である:
Cr6+に対する化合物10−ベース単分子層の選択性をテストするために、地下水で一般的に見られる様々の金属イオン、例えば、アルカリ、アルカリ土類、遷移金属イオン、またはアニオン(Forstner and Wittman,1981)を含む一連の水溶液を、材料と方法の項で記載したようにして調製し、化合物10−ベース単分子層を、Cr6+の存在および存在なしでこれらの溶液それぞれに浸漬した後でλ=516nmでの相対的酸化変化をテストした。]
[0167] 調製され、この実験に使用された特定の溶液は、(a)HgCl2、ZnCl2、CuCl2、CoCl2、MnCl2、およびNiCl2、(b)MgCl2、BaCl2、およびCaCl2、(c)KCl、NaCl、CsCl、およびLiCl、(d)LaCl3、Al(NO3)3、およびCdSO4、(e)NaNO3、Na2SO4、Na2SO3、KH2PO4、およびKBr、(f)Pb(NO3)2、およびNaNO2、(g)FeCl3、および(h)FeCl3(サンプルを強塩基で処理して、Fe3+を選択的に除いた後)である。図9に示すように、Cr6+を含むサンプルのみが、1分の接触時間で大きな光学的変化(ΔA≧60%)があった。さらに、Fe3+に比べてCr6+の選択性は顕著であった。] 図9
[0168] 一方、上に示したように、化合物10−ベースのセンサーは、H+がないときにはCr6+に応答していなかったが、我々が以前記述したように、水およびMeCN中、中性条件下でFe3+を光学的に検出することができた(Gupta and van der Boom,2007)。明らかに、この二元センサーシステムは、pHを変えることにより特定の金属イオンを検出することができた。]
[0169] 80ppmのFe3+またはCr6+を含む水溶液による化合物10−ベース単分子層酸化の時間依存性の測定は、図10に示すように、後者のイオンに対するセンサーの光学的レスポンスが、1分以内の接触時間で少なくとも6倍大きかったことを示していた。さらに、化合物10−ベース単分子層によるCr6+濃度の分析に先立って、材料と方法の項で記載したように、Fe3+は、強塩基での処理により媒体から選択的に除くことができた(図9、エントリーh)。Cr6+は、塩基条件で安定である(Ji et al.,2001)。] 図10 図9
[0170] 実施例7−化合物10は、環境サンプル中のCr6+を光学的に認識する:
定量センサー装置の製作には、コントロールされた実験室条件のみならず外部環境下でも被分析物を検出する能力が要求される。実際、化合物10−ベース単分子層は、環境サンプル中のCr6+を検出するのに使用されてきた。]
[0171] 釣堀り池の水と運動場の砂をサンプルとして採取し、ppmレベルのCr6+を添加および添加なしで、材料と方法の項で記載したようにして分析した。砂からのCr6+は、水で抽出した。全ての水サンプルを酸性にしてpH=1とした。図11に示すように、Cr6+で汚染されたサンプルのみが、ポジティブな結果であった。] 図11
[0172] 実施例8−化合物10−ベース単分子層は、酸性条件下で安定である:
化合物10がH+がある状態でのみCr6+に対して高度の選択性があることを見出されたので、化合物10−ベース単分子層が、酸性条件に対して安定であることが好ましい。この条件下での安定性を評価するために、化合物10−ベース単分子層を、pHが1の水に数時間浸漬した。基板を、ペーパータオルで軽く拭き、乾燥し、λ=516と692でのMLCTバンドの吸収を測定した。]
[0173] 図12に示すように、化合物10−ベース単分子層は、酸性条件で少なくとも12時間は安定であった。しかしながら、より長い時間(56時間)では、両方のMLCTバンドの吸収が18%低下することが観察された(データは示していない)。それでも、pHが1における数時間の安定性を、ほとんどの実験における化合物10−ベース単分子層のレスポンス時間1分で比較すると、この単分子層は、Cr6+の検出および定量化に必要な条件で安定していると結論できる。しかしながら、高pH(>9)では、Si−O結合の加水分解により化合物10−ベース単分子層がガラス基板から剥離されるのが観察され、これは、ワッサーマンら(Wasserman et al.)(1989)とよく一致している。] 図12
[0174] 実施例9−化合物10−ベース単分子層は、Cr6+の触媒的な無害化に使用できる:
これまでの実施例で示したように、Cr6+検出方法は、レドックス反応に結びついており、つまり、化合物10−ベース単分子層のOs2+からOs3+への酸化と、ESRで示されたようにこれに引続くCr3+の生成とに関係している。さらに、紫外/可視スペクトルによって示されるように、Os金属センターの酸化は、pHに依存して溶液中で可逆的に切替えられ、続いてCr3+を生成する。]
[0175] 78) 典型的な実験では、1mMのK2Cr2O7(2倍過剰)が、3mMの[Os(bpy)3]Cl2と反応させ、得られた溶液のpHを、10M−HClと10M−KOHを使用してpHを1〜12の間で調整した。塩基/酸のそれぞれを追加して、pHを測定し、この溶液を、さらに5分間攪拌した。]
[0176] 溶液をpH=1に酸性にすると、Os2+を示す暗緑色から、Os2+の酸化を示す赤色(Os3+は無色であり、赤色は、恐らく他の相互作用による)への速い色変化が観察された。しかしながら、溶液を塩基性にすると、赤色から暗緑色への逆の色の変化が観察された(データは示していない)。これら酸化/還元サイクルを、色の変化が観察されなくなるまで繰り返し(×8)、最終の溶液(pH=1)について、化合物10−ベース単分子層を用いてCr6+を分析した。]
[0177] 単分子層を、pHが1の溶液に6分間浸漬し、この間、紫外/可視スペクトルを1分間隔で測定した。図13に示すように、最初の溶液では60ppmに対し、6分間浸漬した後で化合物10−ベース単分子層により検出されたCr6+量は、〜>1ppmであり(従って、1分後で1ppmの9%がレスポンスしている)、Cr6+量が完全になくなる迄、Os金属センターの酸化状態の切替えが行われていることを示している。] 図13
[0178] 溶液をESRによって分析して、Cr3+の存在を確認した。図14に示すように、初めの1mM−K2Cr2O7溶液を“触媒的に”処理して、Cr3+は確かに形成されていた。図15は、化合物10−ベース単分子層のCr6+による酸化、および水による再生を、pHを函数として示しており、上記した触媒反応の最適pH値が、恐らくpH=1.5〜3.0の間にあることを示している。] 図14 図15
[0179] 上記した実験データをみると、化学的に表面に結合した化合物10−ベース単分子層は、Cr6+廃水処理のリアクターに有効に適用できる。図16には、Cr6+廃水を、化合物10−ベース単分子層で官能基化されたガラスビーズを用いて触媒的に無害化するリアクターの図面を示している。] 図16
実施例

[0180] 参考文献
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Marques M.J.,Salvador A.,Morales−Rubio A.E.,de la Guardia M.,Fresenius’ J.Anal.Chem.,2000,367,601;
Matsumurainoue T.,Ikemoto I.,Umezawa Y.,J.Electroanal.Chem.,1986,209,135;
Mytych P.,Stasicka Z.,Appl.Catal.B:Environ.,2004,52,167;
Reynolds M.,Stoddard L.,Bespalov I.,Zhitkovich A.,Nucl.Acids Res.,2007,35,465;
Singh A.K.,Gupta V.K.,Gupta B.,Anal.Chim.Acta,2007,585,171;
Tian F.,Boiadjiev V.I.,Pinnaduwage L.A.,Brown G.M.,Thundat T.,J.Vac.Sci.Technol.A,2005,23,1022;
Turyan I.,Mandler D.,Anal.Chem.,1997,69,894;
Wasserman S.R.,Tao Y.T.,Whitesides G.M.,Langmuir,1989,5,1074;
Westheimer F.H.,Chem.Rev.,1949,45,419.
Yerushalmi R.,Scherz A.,van der Boom M.E.,J.Am.Chem.Soc.,2004,126,2700;
Zhang S.,Cardona C.M.,Echegoyen L.,Chem Commun.,2006,4461;
Zhitkovich A.,Chem.Res.Toxicol.,2005,18,3;
Zong R.,Thummel R.P.,J.Am.Chem.Soc.,2005,127,12802;]
权利要求:

請求項1
H+の存在下でCr6+の還元に応じて酸化状態を変え、これにより光学的特性を可逆的、かつ光学的に読取りできる変化を起こすことができる二価のオスミウム(Os2+)−、鉄(Fe2+)−またはルテニウム(Ru2+)−ベースピリジル錯体でなることを特徴とする6価クロム(Cr6+)センサー装置。
請求項2
前記ピリジル錯体が、オスミウム(Os2+)−ベースのピリジル錯体であることを特徴とする請求項1に記載の6価クロム(Cr6+)センサー装置。
請求項3
前記ピリジル錯体が、電荷したトリスビピリジルOs2+−、Fe2+−またはRu2+−錯体であることを特徴とする請求項1または2に記載の6価クロム(Cr6+)センサー装置。
請求項4
前記ピリジル錯体が、一般式I〔式中、MがOs、Fe、またはRuであり、nがオスミウム、鉄、またはルテニウムの酸化状態で2または3であり、mがトリスビピリジルリガンドの正電荷で0から24の整数であり、XがBr−、Cl−、F−、I−、PF6−、BF4−、OH−、ClO4−、SO3−、CF3COO−、CN−、アルキル−COO−、アリール−COO−、またはこれらの組合せから選ばれる対アニオンであり、R5〜R28がそれぞれ独立に水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アジド、ニトロ、シアノ、アミノ、置換されたアミノ、チオール、C1−C10アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、カルボキサミド、置換されたカルボキサミド、カルボキシル、保護されたカルボキシル、保護されたアミノ、スルホニル、置換されたアリール、置換されたシクロアルキル、または置換されたヘテロシクロアルキルであり、R5〜R28の少なくとも一つがAまたはBのグループであり、Aが下記の式Aで示され、R4で一般式I化合物の環構造に連結しており、ここで、R4が、シス/トランスのC=C、C≡C、N=N、C=N、N=C、C−N、N−C、アルケン、アリーレン、またはこれらの組合せから選ばれ、R3がCまたはNであり、R2がナシまたは水素、アルキル、アルキレン、アリール、アリーレン、OH、O−アルキル、O−アルキレン、またはこれらの組合せから選ばれ、R1が水素、トリアルコキシシラン、トリハライドシラン、チオール、COOH、COO−、Si(OH)3、またはホスホネートであり、Bが、酸素で一般式1の化合物に連結する−O(CH2)p−R29であり、ここでpが9〜12の整数であり、R29が水素、トリアルコキシシラン、トリハライドシラン、チオール、COOH、COO−、Si(OH)3、またはホスホネートであり、2つの隣合うR5とR28置換基がそれらに連結する炭素原子と縮合してシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールまたはアリールの縮合環を形成してもよく、かつ前記縮合環がC1〜C10アルキル、アリール、アジド、シクロアルキル、ハロゲン、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ハロアルキル、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、ニトロ、シアノ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシアミド、置換されたカルボキシアミド、カルボキシル、保護されたカルボキシル、保護されたアミノ、チオール、スルフォニル、または置換されたアリールから選ばれる1つ以上のグループで置換されていてもよく、さらに前記縮合環がN、O、またはSから選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を有していてもよい。〕の化合物であることを特徴とする請求項3に記載の6価クロム(Cr6+)センサー装置。
請求項5
前記ピリジル錯体が、前記一般式Iであり、ここで、MがOs、Fe、またはRuであり、XがPF6−、またはI−であり、R5、R7〜R26、およびR28がそれぞれ水素であり、R6がメチルであり、R27がAであって、AにおけるR4がC=Cであり、R3がNであり、R2およびR1が共にナシの化合物(それぞれ、化合物4a〜4b、5a〜5b、および6a−6b)であることを特徴とする請求項4に記載の6価クロム(Cr6+)センサー装置。
請求項6
前記ピリジル錯体が、前記一般式Iであり、ここで、MがOs、Fe、またはRuであり、nが2であり、mが1であり、XがPF6−またはI−であり、R5、R7〜R26、およびR28が水素であり、R6がメチルであり、R27がAであって、AにおけるR4がC=Cであり、R3がNであり、R2がメチルであり、R1がナシの化合物(それぞれ、化合物7a〜7b、8a〜8b、および9a〜9b)であることを特徴とする請求項4に記載の6価クロム(Cr6+)センサー装置。
請求項7
前記ピリジル錯体が、前記一般式Iであり、ここで、MがOsであり、nが2であり、mが1であり、XがPF6−またはI−であり、R5、R7〜R26、およびR28がそれぞれ水素であり、R6がメチルであり、R27がAであって、AにおけるR4がC=Cであり、R3がNであり、R2がプロピルであり、R1がトリメトキシシランの化合物(それぞれ、化合物10aおよび10b)であることを特徴とする請求項4に記載の6価クロム(Cr6+)センサー装置。
請求項8
前記ピリジル錯体が、前記一般式Iであり、ここで、MがOs、Fe、またがRuであり、nが2であり、mが0であり、XがPF6−またはI−であり、R5、R7〜R26、およびR28がそれぞれ水素であり、R6がメチルであり、およびR27がAであって、AにおけるR4がC=Cであり、R3がCであり、R2がOHであり、R1がナシの化合物(それぞれ、化合物11a〜11b、12a〜12b、および13a〜13b)であることを特徴とする請求項4に記載の6価クロム(Cr6+)センサー装置。
請求項9
前記ピリジル錯体が、前記一般式Iであり、ここで、MがOsであり、nが2であり、mが0であり、XがPF6−またはI−であり、R5、R7〜R26、およびR28がそれぞれ水素であり、R6がメチルであり、R27がAであって、AにおけるR4がC=Cであり、R3がCであり、R2がO−プロピルであり、R1がトリメトキシシランの化合物(それぞれ、化合物14aおよび14b)であることを特徴とする請求項4に記載の6価クロム(Cr6+)センサー装置。
請求項10
前記ピリジル錯体が、前記一般式Iであり、ここで、MがOsであり、nが2であり、mが0であり、XがPF6−またはI−であり、R5、R7〜R26、およびR28がそれぞれ水素であり、R6およびR27がそれぞれBであって、Bにおけるpが9であり、R29がトリメトキシシランの化合物(それぞれ、化合物(それぞれ、化合物15aおよび15b)であることを特徴とする請求項4に記載の6価クロム(Cr6+)センサー装置。
請求項11
前記光学的特性が、前記ピリジル錯体の紫外/可視領域、好ましくは400〜900nmの範囲での吸光スペクトルであることを特徴とする請求項1に記載の6価クロム(Cr6+)センサー装置。
請求項12
さらに、中性pHでFe3+の還元に応じて酸化状態を変えることができて、Fe3+の検出ができることを特徴とする請求項2に記載の6価クロム(Cr6+)センサー装置。
請求項13
さらに、前記ピリジル錯体層状構造を保持する基板を有していることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の6価クロム(Cr6+)センサー装置。
請求項14
前記層状構造が、前記ピリジル錯体の単分子層であることを特徴とする請求項13に記載の6価クロム(Cr6+)センサー装置。
請求項15
前記層状構造が、前記ピリジル錯体の同じまたは異なる層を複数層にしていることを特徴とする請求項13に記載の6価クロム(Cr6+)センサー装置。
請求項16
(1)前記ピリジル錯体が、前記基板の表面に共有結合できる結合基を有し、(2)前記基板の前記表面が、前記層状構造に共有または結合することができる官能基を有していることを特徴とする請求項13に記載の6価クロム(Cr6+)センサー装置。
請求項17
前記官能基が、共有結合または非共有結合のいずれかで前記層状構造に結合できることを特徴とする請求項16に記載の6価クロム(Cr6+)センサー装置。
請求項18
前記基板が、親水性、疎水性、またはそれらの組合せであることを特徴とする請求項13に記載の6価クロム(Cr6+)センサー装置。
請求項19
前記基板が、ガラス、ドープしたガラス、インジウム錫酸化物(ITO)コートのガラス、シリコン、ドープしたシリコン、Si(100)、Si(111)、SiO2、SiH、炭化ケイ素ミラー、石英、金属、金属酸化物、金属と金属酸化物の混合物、IV族元素、雲母、ポリアクリルアミドとポリスチレンなどのポリマー、プラスチック、ゼオライト、クレイ、木材、薄膜、光ファイバー、セラミック、金属表面加工セラミック、アルミナ、導電性物質、半導体、鋼またはステンレス鋼から選ばれた材料であることを特徴とする請求項13に記載の6価クロム(Cr6+)センサー装置。
請求項20
前記基板が、ビーズ、マイクロ粒子、ナノ粒子、量子ドット、またはナノチューブの形体にあることを特徴とする請求項19に記載の6価クロム(Cr6+)センサー装置。
請求項21
前記基板が、紫外および可視スペクトル範囲で光学的に透明であることを特徴とする請求項13に記載の6価クロム(Cr6+)センサー装置。
請求項22
前記基板が、ガラス、好ましくはガラススライドまたはビーズであり、前記ピリジル錯体が、前記一般式Iであり、ここで、MがOsであり、nが2であり、mが1であり、XがPF6−またはI−であり、R5、R7〜R26およびR28がそれぞれ水素であり、R6がメチルであり、R27がAであって、AにおけるR4がC=C、R3がNであり、R2がプロピルであり、R1がトリメトキシシランの化合物(それぞれ、化合物10aおよび10b)であり、前記ピリジル錯体の単分子層が前記基板に共有結合していることを特徴とする請求項13に記載の6価クロム(Cr6+)センサー装置。
請求項23
H+の存在下でCr6+の還元に応じて酸化状態を変えることができる二価のオスミウム(Os2+)−、鉄(Fe2+)−またはルテニウム(Ru2+)−ベースピリジル錯体を含有して、Cr6+の選択的検出および定量ができることを特徴とする酸性水溶液。
請求項24
前記ピリジル錯体が、オスミウム(Os2+)−ベースのピリジル錯体であることを特徴とする請求項23に記載の酸性水溶液。
請求項25
pHが0.1〜3、好ましくは0.3〜2、最も好ましくは1であることを特徴とする請求項24に記載の酸性水溶液。
請求項26
請求項23乃至25のいずれか1項に記載の酸性水溶液を入れたアンプル。
請求項27
請求項26に記載のアンプルを少なくとも2つ有するキット。
請求項28
(1)Cr6+の還元に応じて酸化状態を変えることができる二価のオスミウム(Os2+)−、鉄(Fe2+)−またはルテニウム(Ru2+)−ベースのピリジル錯体を、H+の存在下で液体サンプルと充分な時間で接触させる、(2)紫外/可視スペクトル領域、好ましくは400〜900nmの範囲で前記ピリジル錯体の吸収スペクトルを記録する、(3)前記液体サンプル中のCr6+の存在をモニターし、前記ピリジル錯体の予め定めた吸収と比較して(2)の前記吸収スペクトルの変化によりその濃度を測定する、を行うことを特徴とする液体サンプル中Cr6+の選択的検出および定量方法。
請求項29
前記ピリジル錯体が、基板上に層状構造として保持されていることを特徴とする請求項28に記載の液体サンプル中Cr6+の選択的検出および定量方法。
請求項30
前記液体サンプルが、固体サンプルを液体媒体で処理して得られたものであることを特徴とする請求項28に記載の液体サンプル中Cr6+の選択的検出および定量方法。
請求項31
前記ピリジル錯体が、オスミウム(Os2+)−ベースのピリジル錯体であることを特徴とする請求項28乃至30のいずれか1項に記載の液体サンプル中Cr6+の選択的検出および定量方法。
請求項32
λ=516および692nmでの金属から配位子への電子移動(MLCT)バンドの低下はCr6+の存在を示し、この低下割合はサンプル中のCr6+濃度に比例することを特徴とする請求項31に記載の液体サンプル中Cr6+の選択的検出および定量方法。
請求項33
前記オスミウム(Os2+)−ベースのピリジル錯体が、pH0.1〜3、好ましくは0.3〜2、最も好ましくは1で前記液体サンプルと接触され、充分な時間が約1分であることを特徴とする請求項31に記載の液体サンプル中Cr6+の選択的検出および定量方法。
請求項34
(1)水または有機液体媒体を、Cr6+の還元に応じてそれぞれ酸化状態をOs3+、Fe3+またはRu3+ベースピリジル錯体に変ることができ、基板上に層状構造で保持された二価のオスミウム(Os2+)−、鉄(Fe2+)−またはルテニウム(Ru2+)−ベースピリジル錯体と、H+の存在下で充分時間で接触させ、(2)Cr6+の存在のモニターし、前記液体媒体からのサンプル中のCr6+濃度を測定する、(3)前記サンプル中のCr6+を検出するとき、前記Os3+−、Fe3+−、またはRu3+−ベースピリジル錯体を還元して、ステップ(1)および(2)を繰返す、ことを特徴とする水または有機液体媒体中のCr6+の無害化方法。
請求項35
前記基板が、ビーズ、ナノ粒子、量子ドット、またはナノチューブの形体にあることを特徴とする請求項34に記載の水または有機溶剤中のCr6+の無害化方法。
請求項36
Cr6+の存在をモニターおよびステップ(2)の濃度を測定する方法が、フレーム原子吸光法(FAAS)、誘導結合プラズマ原子発光スペクトル(ICP−AES)、化学発光分析法、蛍光X線分析法、電気化学的方法により、または請求項29の方法により行われることを特徴とする請求項34に記載の水または有機溶剤中のCr6+の無害化方法。
請求項37
前記ピリジル錯体が、Os2+−ベースのピリジル錯体であることを特徴とする請求項34乃至36のいずれか1項に記載の水または有機溶剤中のCr6+の無害化方法。
請求項38
前記Os2+−ベースのピリジル錯体が、pH0.1〜3、好ましくは0.3〜2、最も好ましくは1で前記液体媒体と接触されることを特徴とする請求項37に記載の水または有機溶剤中のCr6+の無害化方法。
請求項39
水または有機の液体媒体を、H+の存在下で充分時間接触させることにより、Cr6+の還元に応じて酸化状態をそれぞれOs3+、Fe3+またはRu3+ベースのピリジル錯体に変ることができ、基板上に層状構造で保持された二価のオスミウム(Os2+)−、鉄(Fe2+)−またはルテニウム(Ru2+)−ベースのピリジル錯体と接触させことを特徴とする水または有機溶剤中のCr6+の無害化方法。
請求項40
Cr6+を二価のオスミウム(Os2+)−ベースピリジル錯体で還元してOs2+をOs3+に酸化し、酸化されたOs3+を水に充分時間接触させてOs3+をOs2+に再生することを特徴とする触媒的なCr6+還元方法。
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公开号 | 公开日
WO2009095924A1|2009-08-06|
US8273576B2|2012-09-25|
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